保健車
 主に北海道や東北など過疎地域などにおいて職員の健康管理のため巡回診療や保健検査を行うための車両です。車内は動く病院施設となっていて、診療室や調剤室、寝室などが設備されています。またレントゲン装置を搭載している車両もありました。また駅区などの消毒を巡回して行う車両もありました。いずれも客車のみの存在で、電車、気動車には該当車両は製作されませんでしたが、気動車から改造され客車に編入された車両がかつて在籍していました。

広報車
 戦後鉄道80周年記念行事として行われた「動く鉄道博物館」に使用されるための客車や、僻地において職員のレクリエーション用として巡回し室内において映画を上映する車両が存在したようですが詳細はよくわかっていません。いずれも戦後のわずかな期間のみ使用されたようでその後該当車両が廃止されるとともに名称も廃止されてしまいました。客車のみが存在し電車、気動車に該当車両はありません。

救援車
 事業用車の中で最も形式数や車両数が多いもので、事故などに備えて各職場区に常駐し車内に復旧用資材やクレーンなどを設備する車両です。気動車を除く全てに該当車両があります。一般的には第一線を退いた営業用車両を改造したものがほとんどでその形態は同一形式でもさまざまであり趣味的には興味のある車両でした。貨車においてはその後救援車への改番が消極的となり、代用車が多く存在することになりました。

○配給車
 客車における配給車は駅や区などの職場区で必要な諸々の資材や用度品を各地にある資材センター(古くは用品庫)から運ぶために使用されるものを指します。形態的には荷物車に近いのですが、専門の職員が添乗し、一行程が数日に及ぶこともあるため車内に寝台や調理用コンロが設けられているものもあります。また貨物列車に連結され運用されることも多いため車体中央に票差しが付けられています。車両は救援車と同様で第一線を退いたものを改造して使用されました。電車における配給車は工場から電車区等で必要となる補修部品等を運ぶために使用されるもので、車体に車輪などを運びやすいように無がい部分が設けられているのが特徴です。なお気動車には該当車両はありません。貨車においては1953年(昭和28年)の形式称号規程改正時に配給車の設定が検討されましたが、当時の情勢下の事情で見送られたため多くの代用車が存在することとなりました。その後資材センターからの配給業務はトラック輸送に切り替えられたため客車における配給車は大きくその数を減らしていきましたが、電車の方はJRとなった現在でも活躍しています。

○暖房車
 古くから客車列車における冬季の暖房は蒸気機関車からの蒸気暖房により賄われてきましたが、幹線電化が進み電気機関車が登場するに至り暖房用蒸気を発生させるボイラーを持つ車両として誕生したものです。全国の電化区間で使用されましたが、その後電気機関車自体に蒸気発生装置が搭載されたり、新たに電気暖房装置を搭載した機関車やそれに対応した客車の登場によりその数を急速に減らしていきました。客車による列車で使用されることから分類上は客車ですが、その形態は独特のもので、実際に小形蒸気機関車同様のボイラーを有することから検査入場等も機関車職場の担当となっているなど特異な存在でした。

○車掌車
 貨物列車の最後尾や組成上必要な個所に連結され添乗監視業務にあたるために使用される車両で貨車独特のものです。古くは古典2軸客車を転用して使用されましたが、その後新製されるようになりました。同様の目的で緩急車もありますが、こちらは営業用車両に分類されます。貨物列車には必ず連結されていたため多くの両数が在籍しましたが、その後貨物輸送の減少や車掌車の連結省略により不要となり国鉄末期に大部分が廃車になりました。一部はトロッコ列車など本来の目的とは異なる目的で使用されるものもありました。

○雪カキ車
 冬の降雪地方を運転する列車の運行を確保するために線路上の堆積した雪を排除するために使用される車両です。雪カキ車には大別して「ラッセル式」「回転式(ロータリー式)」「広幅式」「かき寄式(マックレー式)」「スノーローダー」の5種類が存在し適宜使用されていました。特に機関車+マックレー+ロータリー+機関車の編成を「キマロキ」と称し、当時最大の除雪能力を誇っていました。その後ディーゼル機関車の発展により除雪用ディーゼル機関車が製作されるようになり、自走出来ない雪カキ車はその数を減らしていきました。

○検重車(衡重車)
 駅や検車区に設置されている橋ばかり(貨車検重台)の精度を定期的に検査するための車両です。最初は衡重車と呼ばれたことから記号を「コ」としていましたが、1975年(昭和40年)にコンテナ車へその記号を譲り「ケ」となりました。全国の主要な工場に配属されていました。またかつては橋りょうの強度をはかる目的とした車両も存在していました。

○工作車
 駅や区などにおける設備の修繕作業に用いられる車両や、客車の工事車と編成を組み建築機動列車(BBGやCCGと呼ばれる)として架橋工事などで現場に長期間滞在して作業に用いられる車両のことです。詳細は不明ですが炊事食堂車・工作機械搭載車・材料積車などがあったようです。いずれも木製有ガイ車を改造したもので、老朽化にともない1980年代に消滅しました。その後同じ目的の車両も存在しましたが改番は見送られ代用車として使用されました。

○操重車
 一般的な言葉でいえばクレーン車ということになります。作業用の大きなクレーンが特徴で、その用途により「事故救援用」「橋けた架設用」「レール積降用」に大別されます。当初は動力として蒸気を使用していましたがその後はディーゼルに改められました。また「事故救援用」操重車はクレーンの部分が車体連結面より大きくはみ出すため長物車と組み合わせて使用されます。「橋けた架設用」操重車には自走出来るものもありました。

○控車
 広い操車場での入換え作業時に作業員が搭乗し誘導作業を行う車両と、連絡船に客貨車を搭載するさいに重量のある機関車が可動橋にかからないように中間車として用いられる車両とがありました。いずれも古い貨車の台枠部分を利用したもので作業時に便利なように手すりが設置されています。また待機用の小屋を設けたものもありました。貨物輸送の減少による操車場の廃止や、連絡船の廃止によりその目的を失い大部分が廃車されました。

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